ここでは、風樹のPC達の参加した「ゲームぎゃざ」読参、「流伝の泉」シナリオのプレイング・結果・感想などを紹介してます。


[1stPC 藤堂・瑠香&和哉]
WT「流伝の泉」依頼
【Kou】ジャズコンサートの策謀
<マスター:龍河流>

◆プレイング◆
◆瑠香◆
【動機】「特技を生かしてボランティア、がんばるぞーっ!」
【目的】美味しいカレーを作ること♪
【行動】特技・料理を持っているので調理を担当します。野菜の準備はみじん切りやジャガイモの皮むきなど多少技術が必要なものを担当します。
※カレー(チキン)について:子供用の甘口と、大人向けの辛口を用意します。子供が多く集まりそうだというので、茹でた野菜を型抜きして飾るなどして子供に気に入ってもらえるよう工夫します。個人的には香りつけに月桂樹の葉(ローリエ)を使いたいと思っています。


◆和哉◆
【動機】「手伝いしながらジャズが聴ければ儲けものか…」
【目的】今回は瑠香の邪魔にならないように…
【行動】料理ができないのでそれ以外のこと(食器運び、材料調達、配膳など)でサポートに回ります。しかし、技術面がついていかないだけで人参など野菜の型抜き等はできますし、ユキトのように「材料の区別が付かない」といったことはないので、型抜きなどに援軍で呼ばれてもそういった失敗は無いはずです。
◆リプレイ◆
●オープニング
 九月に入っても、レストランバーKou店主の安村幸恵のご機嫌は時々よろしくなかった。仕事に差し障ることはないが、自宅でなにやら思い悩んでいるようだ。
 となれば、魔皇様大事の逢魔ユキトの気にならないわけはない。少しでも機嫌を良くしてもらおうと、この日の彼はチャイを作っていた。袋に入った材料をお湯で煮出して、牛乳を加えて暖めるだけの簡単仕様だ。
 でも、なんだか焦げた臭いがする。
「サチエさーん、お茶にしましょうよー。大福もありますから」
「チャイに大福? ユキト、このチャイ、漉してないけど」
 慌てふためくユキトを尻目に、トルココーヒーの要領で飲めばいいのかと、幸恵は器用にカップを傾けている。茶請けが大福でも、とりあえず気にならないようだ。
 ユキトのほうは、彼女が放り出した書類を取り上げて読み始めた。発行は幸恵の店も加盟している飲食店組合。内容はといえば。
「チャリティージャズコンサートなんて、いいですね。ぼく、ジャズ好きなんです」
「クラシック詳しいじゃないの。あれは?」
「父親の趣味です」
 クラシックが趣味の父親に、家事万能、料理が特に上手な母親の元で育ったユキトは、結構ナチュラルにいい奴だ。チャリティーなら、ぜひとも聞きにいこうと料金を書類から探そうとして‥‥自分の勘違いに気付いた。
 組合に回ってきたのは、当日のコンサートで供されるカレーを作ってくれる調理師の募集だったのだ。この組合のある地域にはカレーのテーマパークも存在するが、なにしろ人間全般にやる気のない昨今、テーマパーク内外を問わずに専門店から人が集まらないらしい。
「なんでカレー?」
「主催者に聞いて。ともかく、カレーを食べてジャズを聴くっていう、変わった趣向なのよ」
 演奏者は素人なので、客寄せに食事がついたのかもしれないと幸恵は考えたようだ。ちなみに料金は、カレーとコーヒーまたは紅茶付きで四千円。会場費や食事の材料費を除いた金額が、よその国に楽器を贈る費用になるらしい。
「ぜひとも協力してほしいって、泣きつかれたんだけど。基本的に無料奉仕なのよ」
 ちょっとは謝礼も出るらしいがと幸恵が口にすれば、ユキトはこくこくと頷いた。
「ぼく、それでもいいです。サチエさんがやるなら、お手伝いに行きますから」
 幸恵にしたらありがたい言葉だったが‥‥、彼女とキャベツ、白菜、レタスの見分けがつかない従業員だけで定員百五十名のコンサートでカレーを作るのは至難の業。というか、まず無理。
 ボランティアを募るしかないと、幸恵は決心した。

『ボランティア募集。音楽の秋を楽しむジャズコンサートで振舞われるカレーを作ってくれる人。条件。ジャガイモの皮がむけて、たまねぎをみじん切りにできる人。当日、会場で何があっても暴れない人』
 こんな張り紙がKouに張られたのは、翌日のことだった。

●【Kou】ジャズコンサートの策謀

 レストランバーKouが、グレゴール主催のチャリティージャズコンサートのカレー作りをすることになって、ボランティアメンバーは十人も集まった。そんなに集めたつもりは店主の安村幸恵にはないが、魔皇が逢魔をつれてくると人数は増加する。ある意味必然であった。
「人数が増えると、何か問題がありますの? 百五十人も集まるそうですから、配膳だけでも人手がいりますわ」
 材料の買い出しも任せてと言いたげだった嘉神碧(g523)は、前日にはすっかり手配の済んでいた材料の山にちょっとだけ残念そうだ。碧は市内農家に買い出しに行く計画も立てていたが、横浜市内で作られている野菜は『はな菜』と称されて、案外高い。市場から仕入れるのが安いと説明されて、買い出し分の情熱も調理に向けることにした。
 彼女の逢魔白音は、すでに玉葱に傷みがないかを調べている。その横にアイデル・ノート(f457)が次々と段ボールに入った野菜を積み上げていた。そんな彼の表情は、嬉しそうには見えない。
「カレー、こんなに大きな鍋で作るなんて、楽しそう。和哉も運ぶの手伝ってあげなよ」
 反対に喜色満面で今にも飛び跳ねそうなのは、藤堂瑠香(f888)だ。逢魔の和哉を扱き使って、着々と準備を進めていた。
 更には幸恵の逢魔ユキトに花瀬祀(e594)や逢魔都昏も指図して、あっという間に野菜は調理を待つ状態になった。
 山をなす野菜の傍らでは、皮剥き器を幾つも持った桐生龍広(b275)が待ち構えている。この中では男性最年長の橘月兎(c793)は、逢魔の紅雪と調理器具を運んでいた。皿などを運ぶのはたいそう手慣れているが、実は本職のカフェオーナーだそうである。
「こういうのは、学生時代を思い出しますね」
 その橘の何気ない一言が切っ掛けだった。現役、それ以外を問わず、その通りだと同意の声が上がる中、アイデルの仏頂面はしわを深くしていくばかりだ。
「僕、カレーは苦手なんです」
「じゃ、なんで今日来たの?」
 身も蓋もない突っ込みをした祀は、桐生や橘に調理場の端に連れていかれた。誰にも一つや二つ、食べられないものがあって不思議ではない。それがカレーだと、確かに学校行事は大変な苦労を強いられただろうが。
「だから、主催者の子供と見ればカレーという考えは、ぜひ一言言いたいです」
 相手はグレゴールなので、魔皇だとばれないようにしましょうねと、碧や紅雪の取り成しはとても心にしみる口調だった。
 そうしてアイデルの感傷はさておき、カレー作りは始まった。場所はジャズコンサート会場に借り受けた建物の調理場だ。設備は申し分ないが‥‥
「包丁が切れない! やっぱり自分のだわ」
 そう幸恵が叫んだ。碧や瑠香も同感らしく、白音と和哉が見たこともないくらい難しい顔をしている。切れない包丁は、料理の大敵だ。
 ただし皮剥き器に頼っているアイデルや都昏には、あまり関係がない。更に経験値不足を理由にじゃが芋洗いに追いやられた祀には、もっと関係がなかった。貧乏くじを引いて、玉葱の皮剥きをさせられている桐生と橘など、包丁どころではない。
 でも幸恵が砥石を鞄から取り出して、せっせと包丁を研ぎ始めたのはわかった。挙げ句にこの場の料理好き達は‥‥
「うちの包丁も研いでいただけないかしら」
「いーなー、これ、新品みたーい」
「じゃあ、あたしの家のも」
「だめだよ、怪我するだろっ」
 時間もないと言うのに姦しくさえずっていた。でもその後の作業は段違いに早くなったので、この遅れは簡単に取り戻される。
 野菜の皮を剥いて、刻んで、まずは玉葱から炒めて、鶏肉は別のフライパンで炒める間にも、寸胴鍋でスープをとる。これは碧の指揮のもとに行なわれる。幸恵はカレールー作りに邁進していて、大量のスパイスに埋もれていた。ルーの作り方は、桐生と橘がインターネットでゲットしてきたものだ。
 そうして瑠香が玉葱を炒めている間には、お料理してみたい祀と逢魔に料理指導してもらったばかりの桐生が、人参を小さなクッキー型で様々な形に抜いている。
 この頃にはすでにカレールーの香りで疲れ果てているアイデルは、橘と一緒にカレー配布場所の設営をしていた。本当はロケットガントレットでも使えば早いのだが、なにしろ主催がグレゴール。残念ながらその手は使えない。よって橘と相談しながら、会場が混雑しないような設営をしていた。
「私がチケット受け取りですか? 盛り付けも数があると、力がいるでしょう?」
「男手はほかにもありますし。嫌いなものをずっと盛り付けるのは大変ですから」
 カレーは小さな子供でもOKの甘口と、ちょっとスパイシーな中辛の二種類だ。それを入場口で選んでチケットを受け取り、配布場所でカレーと引き換える。コーヒーと紅茶も、担当が配ることになっていた。
 そういうわけで、盛り付けから外してもらうことになったアイデルだが、ここで思った。やはり力仕事のような気がする飲物の配布なら、自分だって問題はないだろうと。
 でも本職を前にして、そういう希望はなかなか通らないものだ。というか、橘はたとえ紙コップにでも、コーヒーを注ぐ役には熱心で他人には譲らないと、紅雪に耳打ちされた。
 後ほど橘が紅雪に『いい加減なことを言って』と話していたのだが、紅雪は『代弁してあげただけ』としらばっくれていたらしい。
 そんなこんなで、チケット確認アイデル、飲み物担当橘と紅雪と決まった。紅雪が決めたともいう。
 配布場所が着々と設置されている中、桐生と祀の人参型抜きもどんどん進んでいた。ただしこちらには難点があって‥‥
「ごめーん、でもあいつに包丁持たせると大惨事だから」
 都昏が乾いた笑いを唇に乗せて、魔皇の無駄遣いを謝罪していた。どうも二人が頑張れば頑張るほど、型抜きされた人参より、抜かれた後のそれが増えていく。輪切り人参の真中を、律儀に型抜いていくから無駄が多いのだとは、皆分かっていても指摘しない。そんなことをするには、祀も桐生も楽しそうだからだ。
「後で別のものに使えるといいんだけどね」
 輪切り人参を蒸したものを、鍋から和哉に取り出してもらいながら、瑠香が苦笑する。そんな彼女はさっきまで、力仕事は全部和哉に割り当て、自分は楽しく玉葱の微塵切りをしていた。よく切れる包丁は、料理を楽しくするのだそうだ。
「あら、こんなにあるんですもの。今使いましょう?」
「小麦粉は余ってるけど、調味料は買い出しよね。なに作るの?」
 キャロットケーキを作って、おみやげに配る。という碧の発案に、料理好きは反対しなかった。これからカレーの具をしばらく煮込んで、ルーを加えるのはもう少し後だ。ローリエも入れたし、スープは短時間で可能な限りいいものをとった。おかげで彼ら自身も昼食の時間だが、のんびりする時間は少しある。
「ぼく、足りないもの買いに行きます」
 ここでずっと洗い物に追われていたユキトが手を上げたが、誰も頷かなかった。人参と玉葱の区別がつかない奴を、誰が調味料の買い出しに行かせるものか、である。ただし彼は、この周辺の地理には明るい。
「‥‥一緒に行ってあげてくださいます?」
 魔皇に尋ねられた白音が頷いて、逢魔二人が自転車で買い出しに向かった。お昼ご飯用に、焼きそばも抱えて帰ってきたのは三十分後だ。
 このお昼ご飯はアイデルのみならず、カレースパイスの香りにげんなりしていたボランティア達にかなり喜ばれた。
 それから午後もせっせとカレーとキャロットケーキ作りに邁進し、まずはカレーが会場時間の午後二時半には完璧に仕上がった。ケーキはもう少し遅れるが、おみやげなのでいいことになる。
 さて、カレーライス配布の時間になって。
「‥‥放り出していいか、あれ」
「そんな物騒なことを言うものじゃありません。お引き取り願うと言わなくては」
 せっかくレシピも色々取り揃え、子供向けやら何やらと気を使って作ったカレーにウスターソースをかけたいとほざく客はいるわ、全体に聴衆は他人の迷惑顧みないわで、桐生が拳を握っている。スタッフが時折目に余る客には注意しているが、なかなか効果が上がらなかった。
 そんな中でも瑠香と和哉が甘口を、碧と白音が辛口、飲み物は橘と紅雪、スプーンなどは祀と都昏が担当してのカレー配布は概ねうまくいっていた。こういうときには魔皇と逢魔はなかなかいいコンビである。
 そうしてカレーの味は、桐生が放り出したく、アイデルがお引き取り願いたい、ウスターソース云々と抜かした奴以外には好評のようだ。今一つ、反応が掴み切れないところもあるが。なにしろ器を返しに来ても、一言も挨拶のない輩が多い。洗い物担当のユキトでさえ、張り合いがないとぼやいたほどだ。
 こうした人々の無気力や無配慮は神帝軍来襲以降に目立つ特徴だが、この場の魔皇と逢魔にはそこまで訝しんだ者はいない。なにしろカレー作りやその後の円滑な配布に、皆気を取られていたので。
 それでも、目の前で失礼な客がグレゴールに怒られれば、その場限りではグレゴールの味方の振りをする。保身でもなんでもなく、ウスターソース掛けが許せないからだ。ついでに子供にアルコールを勧めた態度も。カレーについては、アイデルは意見がないかもしれないが。
 なお、この時のアイデルは、叱り飛ばしているグレゴールが主催者だと、妙に及び腰のユキトに聞いたので、自分の哀切な訴えを聞いてもらおうと思っていたのだが‥‥
 別の魔皇に邪魔をされた。あちらはグレゴールの目的を確認に来た一団らしい。彼らの指摘でボランティア組も気付いたが。
「Kouの幸恵さんと、顔が似てるんだけど」
「姉。なんだ、知り合いなんだ?」
 配布場所の奥でチケット数とカレーの残量、その他諸々のチェックをしていた幸恵に魔皇達の視線が集まったが、当人は平然としている。ユキトがその分まで縮こまって、使用済み器を抱えて調理場に逃げていった。
「確かに似てるけど、姉弟なんだ?」
 これまでの丁寧な口調も少々砕けた橘が、幸恵に問いかける。その様子を眺めていたグレゴールは、近くにいた瑠香に『知らなかった?』などと話しかけた。固まった瑠香の代わりに、碧が適当にお茶を濁す。
「会場責任者の安村幸人です。本日は長時間のボランティアに参加していただいて、ありがとうございます。また後ほど」
「ゆきとくん?」
 当人がいなくなってから、祀が訝しげな声を上げる。こそこそ戻ってきた逢魔のユキトが返事をしたが、和哉がグレゴールの去った方向を指したので自分ではないと理解したようだ。
「内緒にしてくださいねっ。ねっ、ねっ」
 他人のプライバシーですよぉとやや見当外れなことを言われた魔皇と逢魔は、しばらくカレーの配布に熱中した。ちょうど失礼な客がいなくなって、カレーを求める人が列を為したせいもある。
 結局アイデルは文句を言い損ねたが、幸恵に後で呼んであげようかと申し出られても、頷きにくい。結果、幸恵に愚痴を零すことになった。きちんと伝えてくれると、請け負ってもらったので。
 やがて、戦場のような時間が過ぎ、ジャズ演奏が始まると、会場はそれまでのざわざわした雰囲気が嘘のように静まり返った。一部騒がしいのは、魔皇か逢魔らしい。
「さっき、会場に入るときには普通だったのに、今は後光が差しているな」
 実感としてはあながち間違いではない感想を桐生が漏らす。確かに演奏者のグレゴール達は、油断すると見惚れるくらいに神々しい。それに対して幸恵の弟は、ごくごく普通の青年だ。
「あれがグレゴールの標準外見みたいよ。ただ地味を装うことも出来るんだって。横浜テンプルムはそれほど魔皇狩りしていないみたいだけど」
 そもそも活動らしいこともしてなくて、伝(つて)が事件かも知れないと言ったのも初めてだしと、幸恵が誰にともなく口にする。ユキトは深々とため息を連続で漏らしているきりだ。
「しかし、困るわよねー」
 そんな一言で済ませてくれるなと、思った魔皇と逢魔は多い。ここでそれを話題にしては、かえって自分達が危険なのでどうにも言えないが。
 そうした虚脱感の中でも焼き上がったキャロットケーキをビニール袋に詰め、おみやげにする作業は続く。か、これがまた拷問のようなもので。
「大したトラブルがなくて、良かったですよ。魔皇の妨害があったら、大変でしたし。魔皇って、テロリストの別名なんですけど」
「そういえば、群馬あたりでまたなんかやらかしたみたいだし」
 いったい何をやらかしたと言われているのだろうと、袋詰めを手伝ってくれるスタッフの台詞にやや沈黙気味で、彼らはなんとかコンサートの終了を迎えた。余ったカレーはスタッフと演奏者達が食べて、片付けもお任せでいいらしい。
「反省会に参加して、忌憚のない意見を聞かせてくれと言われたけど‥‥みんなは、よそで打ち上げするって言っておいたわ」
 幸恵は食器の回収があるので帰れない。だから当然ユキトも残る。
 そういう訳で、夕食代を押しつけられたボランティア一同は、それぞれの気持ちの赴くところに帰り、または出掛けていったが‥‥
 まっすぐ自宅に帰らなかった者は、山下公園で竜笛など奏でたばかりに大道芸人扱いで観客を集めた桐生を見たり、カフェでデートしている橘と紅雪に行き合ったりしていた。
◆風樹コメント◆
和、全く喋ってませんね(苦笑)完全に瑠香にこき使われてます。
ま、「読参で忠誠が高い、犬のシャンブロウ(責任感が強い)」としてはいいキャラですな〜。
そして(今回何故か精神年齢低い)瑠香の「苦笑いキャラ」が定着(笑)

…リプレイ上がってから改めてプレイング見てみると不自然な点が多々あったり…(汗)
はたしてジャガイモの皮むきが「多少技術が必要なこと」なのか、とか……

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